2022年11月22日に、我々、医療法人社団モルゲンロートは、小池百合子東京都知事へ、要望書を提出いたしました。その際に、我々の想いを伝えさせていただきました。
下記に我々の想いを記載いたします
「こうのとりのゆりかご」に賛否両論があることを我々は認識しています。
代表的な反対意見:
・出自を知る権利が脅かされないか?
・子供を捨てる選択肢が増えないか?
・親への相談サービスを充実させれば良いのではないか?
・乳児院の負担が増えるのでは?
しかし、今の選択、今のやり方で毎月約3人の生後0日の赤ちゃんが死亡し、母が殺人罪等※で逮捕されると いう結果が継続しています。
一方で、言葉を発することができない赤ちゃんの立場に立って考えると、赤ちゃんの中で「死にたい」と思ってい る方はいません。
これは小児科専門医としてNICUで新生児医療に携わってきた医師の立場としても断言でき ます。
ドイツのメルケル元首相は「緊急時に人に優しくしたことで謝らなければならないのなら、ここは私の国ではあり ません」という発言をされていますが、現在国内で発生している虐待死、母の殺人罪等※の問題も同様であると 考えています。
上記の理由により我々は「こうのとりのゆりかご」への預け入れはもっと増えなくてはならないと いう見方をしています。
しかしながら、我々は「こうのとりのゆりかご」への預け入れが増えることを目標としていません。
我々は虐待死と殺人罪の母が減ることを目標としています。
※「殺人罪」「保護責任者遺棄致死罪」「保護責任者不保護致死罪」のいずれかに該当するケースが多いです。
①望まない妊娠出産、想定外の出産・育児負担を「予防」するために
・2007年から慈恵病院に「こうのとりのゆりかご」が設置された熊本県内でも赤ちゃん遺棄による生後0日の死
亡は続いています。 ⇨特に若い人たちへ東京都妊娠相談ホットライン、「こうのとりのゆりかご」、内密出産が認知され続けることが 必要です。認知される活動について東京都にも協力いただきたいです。空いている看板スペース(都営線な ど)、Youtube、学校や幼稚園などの公共施設など。
◉最も重要なのは育ての親へつなげる養子縁組制度を母へ認知していただくことです。
⇨養子縁組制度が一般的になれば「こうのとりのゆりかご」に預けなくて済みます。同性婚のカップルも育児が できます。不妊治療による医療費の削減効果も期待できます。そのために「こうのとりのゆりかご」設置後の官 民連携の対話は必須です。また我々はメディアで養子縁組で育った方達の声を発信することを企画中です。養 子縁組制度の普及を東京都と共創していきたいと考えます。
②望まない妊娠が発生し、すでにお悩み中の方を「助ける」ために ・東京都妊娠相談ホットラインについて
ホームページやSNSなど情報発信できる媒体で官民連携で告知をさせて欲しいと考えています。 熊本県の慈恵病院ではこの相談業務だけでも専属で5名を365日24時間配置し、1,500万円以上の人件費が かかっているとのことです。この相談業務を東京都に協力いただけると、我々が設置する「こうのとりのゆりか ご」が継続しやすくなります。そして、母の生の声を行政機関に認識していただきながら、相談員へのメンタルケ ア、勉強会、フィードバックの機会を我々は共創していきたいと考えています。
③「こうのとりのゆりかご」が必要ない状態、虐待死が「ゼロ」になる状態を作るために
⇨幼少時や学童時からの義務教育で、出産、育児、性教育について考える機会を作っていくことが重要と考え ています。望まない妊娠は女性だけでは発生しません。男性に対する性教育の機会をできる限り早期から段 階的に繰り返しおこなっていくことが不可避です。NPO法人だけでなく、東京都と共創していきたいと考えます。 戦争で民間人の子供が亡くなればニュースになります。今国内で発生している罪のない赤ちゃんが毎月3人、 虐待死で子供達が年間70人亡くなり続けている事を当たり前にしてはいけないと強く思います。戦争同様に教 科書に掲載していくべき事実であり、繰り返してはいけないと考えています。
最後に、11月16日江東区山崎区長の会見で出た、「赤ちゃんポストは簡単ではない」の言葉で現状維持させる 大人であってはならないと強く感じています。
官民連携しながら、昔話として「こうのとりのゆりかご」が必要だった、という 歴史を作っていきたいと考えています。