がんを防げる唯一のワクチンです。受けることをお勧めします。
以下、かなり長いですので、赤太文字や表だけでもご覧いただけると幸いです。
また、動画でしたら、こちらのサイトで約3分で解説しています。
子宮頸がん予防情報サイト「もっと守ろう」
https://www.shikyukeigan-yobo.jp
●「がん」と予防
「がん」は、ご存じの通り放っておくと死に至らしめる病気で、日本人のうち2人に1人はかかってしまいます。
これまで、がんを「予防」する薬はなく、禁煙や適切な食習慣、適度な運動をすることで発症する確率を減らしたり、また仮に「がん」にかかったとしても、健診で初期の段階で発見して治癒率の高い状態で治療する、という対応でした。
●子宮頸がんとワクチン
しかし、その予防が困難な「がん」の中でも、唯一、ある「がん」のみ予防方法が発見されました。それが、「子宮頸がん」、そしてその予防方法が「ワクチン」です。
以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。日本では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡しており、また2000年以後、患者数も死亡率も増加しています。
子宮頸がんの原因のほとんどは、「ヒトパピローマウイルス(以下HPV)」というウイルスの感染により発症し、主に性交渉によって感染します。つまり性交渉を始めるより前にワクチンを打てば、HPVにかかりにくくなり、子宮頸がんになりにくくなる、という仕組みです。
●HPVの種類とワクチン
HPVには色々な「タイプ」があります。日本での子宮頸がんにかかった人のHPVの「タイプ」の内訳は下記の通りになっています。
またそれに対応し、子宮頸がんのワクチンは3種類あります
商品名 | サーバリックス | ガーダシル | シルガード9 |
国内発売 | 2009年12月 | 2011年8月 | 2021年2月 |
定期接種 | ○ | ○ | × |
予防する HPVの型 | 16・18型 | 16・18・6・11型 | 16・18・6・11・31・33・45・52・58型 |
従って理論上、下記のような効果になります。また、3つのワクチンの中でも9価のワクチンが最も予防になると推測されます。
●実際の効果は?
では、実際の効果はどうでしょうか。
日本では一旦摂取が見合わせられたこともあり、まとまったデータは今のところありませんが、スウェーデンで「4価のワクチン」について、2020年に約167万人を対象とした12年間にも渡る大規模な論文が発表されました。
少し見にくいですが、縦軸が子宮がんの発生率、横軸が発症した年齢です。赤線がワクチン未接種、青の点線が17-30歳でワクチンを接種した人、緑が17歳未満にワクチンを接種した人です。ご覧の通り、17歳未満にワクチンを摂取すると、発生率を大きく減らせます。
●色々な報道がありますが、副作用は?
子宮頸がんワクチンを打ったことによる副作用について、いろいろな報道がありましたが、実際のところはどうなのでしょうか。
ほとんど報道されていませんが、実は2018年に日本において3万人を対象とした「名古屋スタディ」が発表されました。
その内容は、センセーショナルに報道されている、「手足が動かなくなった」「車いすや杖が必要となった」「物覚えが悪くなった」など24項目に渡って無記名で回答されています。しかし、いずれもリスクに差がないという結果になりました(http://kanagawacc.jp/vaccine-jp/226/)。その強い症状からニュースをご覧になった方は衝撃を受けられたと思いますが、子宮頸がんワクチンを打たなくても、残念ながら一定数の方は同様の症状を発症していらっしゃるのです。
●筆者の経験から
筆者はこれまで数百回、子宮頸がんワクチンを打ちました。人それぞれですが、「痛さはインフルエンザとあまりかわらない」「一時的に、手を挙げると痛い」そうです。思春期の女性が対象なので、感受性が豊かだったり、痛みに弱い方は、ふらつくこともありますので、そういった方はベッドに横になって注射を打たれることをお勧めします。
●仮に副反応がおきてしまったら?
もし仮に副反応がおきてしまったら、市区町村の予防接種担当課へご相談ください。健康被害が予防接種によって引き起こされたと国の審議会で認められた場合、法律に基づき救済が受けられます。
<参考文献>
●子宮頸がん予防情報サイト もっとまもろう.jp
https://www.shikyukeigan-yobo.jp/
●厚生労働省:ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html
●日本産婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=10
●ワクチンでこどもを守る!
HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン(子宮頸がんなどの予防ワクチン)
https://www.know-vpd.jp/children/va_c_cancer.htm
●YOKOHAMA HPV PROJECT