子供の病気|中耳炎
子供の中耳炎
子供の中耳炎は、とくに2歳くらいまでの乳幼児によくみられる病気で、小学校入学までに60〜70%の子供が一度はかかるといわれています。しかし、「子供の中耳炎はよくある病気だから」と軽く見てしまうのは禁物。適切な治療をしないでいると、治るまでに時間がかかったり、何回も繰り返してしまったり、ときには重症化してしまうこともあるからです。ここでは、子供の中耳炎について、病気のしくみ、ご家庭での対処法や受診のポイントなどをお伝えします。
子供は中耳炎になりやすい?
「子供が風邪ぎみだなあと思っていたら、鼻水と38度の熱! 機嫌が悪く、食欲もないので、かかりつけ医を受診したら急性中耳炎と診断された」
「子供の中耳炎を治療して、ようやく治ったと思ったら今度は反対側の耳から耳だれが…。子供ってどうして何度も中耳炎にかかるの…」
小さいお子様をもつお母様やお父様の中には、このような経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。中耳炎は、鼓膜のある「中耳」という部分が炎症を起こす病気です。なかでも、子供に多くみられる中耳炎は、細菌やウイルスに感染して発症する「急性中耳炎」。風邪をひいたときなどに鼻やのどの炎症に続いて起こることが多く、高熱や耳の痛みなどの症状があらわれ、耳だれが出ることもあります。急性中耳炎の治療の基本は、抗菌薬の飲み薬です。きちんと治療すれば、多くの場合は1〜2週間で完治します。
急性中耳炎を繰り返したり、途中で治療をやめたりすると「滲出(しんしゅつ)性中耳炎」に移行してしまうことも。滲出性中耳炎は、耳管や中耳の粘膜からしみ出た滲出液が中耳にたまる病気で、発熱や耳の痛みといった症状はないものの、耳の聞こえが悪くなることが特徴です。治療には抗菌剤や滲出液を外に出しやすくする薬を使用し、通常は1カ月ほどで治りますが、長引く場合は数年かかることもあります。
子供が中耳炎にかかりやすい理由は、大人に比べて耳管が短く太い上に咽頭までの傾斜が水平に近いため、細菌やウイルスが侵入しやすくなっているからです。成長して大人の耳管の形に近づくにつれて中耳炎は起こりにくくなります。
子供の中耳炎、こんなときはどうする?
耳鼻科、小児科、受診に迷ったときは
子供の中耳炎は風邪をきっかけに発症することが多く、発熱や鼻水などの症状だけではなかなか見分けがつかないことが多いもの。「風邪で熱が出たと思っていたら、実は中耳炎を起こしていた」というケースも少なくありません。
判断に迷ったときは、まずはかかりつけの小児科医に相談してみることをおすすめします。「小児科でも耳の病気を診てもらえるの?」と心配されるかもしれませんが、中耳炎は子供の病気としては非常に一般的なので、小児科で診断・治療できることがほとんどです。ただし、症状が重い場合は中耳に管を入れて滲出液を吸い出したり、鼓膜切開を行ったり、鼓膜に穴を開けてチューブを入れるなどの処置が必要となるケースがあります。このような処置は小児科では行っていないので、必要な場合は耳鼻科を受診するよう勧めてくれるでしょう。
幼稚園・保育園、学校には行ってもいい?
基本的には中耳炎そのものがうつることはないため、とくに決まりはありません。しかし、中耳炎の原因となる細菌やウイルスは、咳やくしゃみによって他の子供にうつってしまうことがあります。また、耳だれにも細菌やウイルスが含まれており、さわってしまうと感染することがあるので注意が必要です。一般的には、発熱や痛みなどの症状が治まっていれば登園・登校はできますが、無理をして症状が再発したり悪化することもあるので子供の様子を見て判断しましょう。心配な場合は、かかりつけ医に相談すると安心ですね。
お風呂やプールに入っても大丈夫?
お風呂はいつも通り入って問題ありません。ただし、高熱があるときや痛みが強いときは控えましょう。一方、プールの水は塩素消毒されているため、耳や鼻の粘膜を刺激してしまう可能性があります。発熱や痛みが治まってからも、医師の許可があるまではプールに入らないようにしましょう。
家庭でのケアと受診のポイント
夜中にとつぜん子供が「耳が痛い」と訴えたり、泣きだしたりしたときは、急性中耳炎を起こしている可能性が高いといえます。初めてのときは驚いてしまうと思いますが、あわてなくても大丈夫。夜間や休日など病院の診療時間外に子供が耳の痛みを訴えたときは、まずは痛みをとる手当をしてあげましょう。
耳のまわりを冷たいタオルや冷却シートで冷やし、子供用の解熱鎮痛剤があれば飲ませます(抗生物質や大人用の痛み止めなどは使用しないでください)。耳だれが出ている場合は、薬局などで市販されている綿球(脱脂綿を球状にしたもの)を耳の穴に当て、耳漏が外にたれないようにします。綿球はサージカルテープなどで落ちないように留めておき、汚れたら取り替えましょう。
痛み止めの薬がなく痛みをがまんできない場合などは、救急病院や休日診療所を受診するとよいでしょう。その場合も、ご家庭でのケアで症状がおさまった場合も、翌日には必ず医療機関を受診するようにしてくださいね。
赤ちゃんや小さい子供の場合は、症状を自分で説明することができません。高熱がなかなか下がらない、機嫌が悪くなる、泣き止まない、耳に手を当てる、耳をさわるといやがる、といったサインを見逃さないようにしましょう。
ワクチンによる予防
中耳炎を引き起こす原因菌のひとつに「肺炎球菌」があります。小さな子供は肺炎球菌に対する免疫がほとんどなく、感染して肺炎を起こし、中耳炎の原因になってしまうことも少なくありません。小児用肺炎球菌のワクチンを接種することで、中耳炎の発症を防ぐ効果が期待できます。
小児用肺炎球菌のワクチンは2013年4月から定期接種になり、当院では23区の住民の方を対象に公費負担で接種を行っています。生後2カ月から接種できますので、お気軽にご相談ください。
※江東区以外の23区にお住まいの方は最寄りの保健所から配布される予診票をお持ちください。
有明みんなクリニック・有明こどもクリニックでの取り組みをご紹介
小さなお子様は、耳の構造上中耳炎にかかりやすく、また繰り返しかかることもあります。ワクチンによる予防もできますので、小児科でご相談下さい。
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