急性胃腸炎
急性胃腸炎とは?
胃や小腸、大腸、直腸などの消化器官において起きた炎症を総称して急性胃腸炎と呼んでいます。小児ではそのほとんどは感染症に伴う感染性胃腸炎で、大きく分けてウイルス感染と細菌感染の2つに分けられます。代表的なウイルスにはロタウイルス、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、アデノウイルスなどがあげられます。一方、細菌感染性の胃腸炎の原因としてはサルモネラ、カンピロバクター、ブドウ球菌やビブリオなどがあげられます。そのほか、お薬や化学物質でも嘔吐や下痢をすることもあります。
症状
突然の発熱、嘔吐で始まるのが典型的な症状です。その後下痢が続いて起こり、1週間、時にはもっと長く下痢がつづくことも少なくありません。とくに症状が出始めた最初の数日は、小児では元気もなく、ぐったりしていることもよく見受けられます。軽症なものであれば嘔吐などはなく、いきなり下痢が始まり、機嫌が悪くなることなどもない場合もあり、症状は軽度なものから入院を必要とするようなものまで、感染したウイルスや体調、基礎疾患などによって様々です。
ウイルス性腸炎では、嘔吐はおおむね数時間から1日程度で収まることが多く、徐々に吐き気は落ち着いてくることがほとんどです。嘔吐があっても水分を少しずつでいいので飲めるようになっていれば徐々に回復していくと思われますが、半日から1日が経過しても全く水分が飲めないような状態なら、早めの受診をするべきでしょう。もちろん、嘔吐が頻回でぐったりしているようなら症状が出たばかりでも受診しましょう。また、症状が落ち着いてからも、乳幼児であれば1日1-2回程度に嘔吐してしまうことはありますが、水分が摂れて、尿もしっかり出て、元気も出てきているようであれば、食事の際にあまり一気に食べたりしないように気を付けながら様子を見ても問題ありません。次第に嘔吐は減っていくと思われます。
下痢は最もよく見られ、またより長引きやすい症状です。下痢で気を付けるべきことは脱水です。下痢をしていて水分が摂れない、おしっこが減ってきた、元気がなくぐったりなどは脱水の所見ですので早めに受診してください。一方で、下痢はしているけれども元気もあり、食事もある程度取れていて、下痢以外の症状が目立たないような状態であれば経過観察していると次第に下痢もよくなってくることが多いですが、心配なことがあれば一度受診して診察してもらうとよいでしょう。
細菌性腸炎では嘔吐を伴わないこともよく見られます。また、血便を伴うことも少なくないため、血便がある場合は早めに受診しましょう。
治療
ウイルス性胃腸炎に関しては特効薬、つまり原因となるウイルスを死滅させる薬はありません。脱水を防ぐための水分摂取を心掛けながら自然に回復するのを待ちます。症状が出始めたばかりの時はつらいので、この時期は無理せず本当に一口ずつで構いません。時間をかけて飲みましょう。それでも嘔吐する場合は、嘔吐だけで急激に脱水になることはあまりありませんので、十分時間をあけて、一度眠ってからでも構いません、吐き気が落ち着いてきたら再度、少しずつ水分をとってみましょう。半日程度で水分はちょっとずつですですが、摂取できるようになることが多いです。時には、のどが渇いて飲みたいと言っては嘔吐しているようなときもありますが、飲んでは嘔吐している状態では、逆効果にもなりかねないので、そのような場合も少しの時間、飲むことは我慢してもらいましょう。飲むものとしては経口補水液が理想的ですが、子供は味の問題もあるので最初はお茶など、お子さんが飲みやすいもので構いません。
経口補水液の材料
- 湯冷まし…1リットル
- 食塩…3グラム(小さじ1/2杯)
- 砂糖…40グラム(大さじ4と1/2杯)
- 好みで果汁(レモン、グレープフルーツなど)
経口補水液の作り方
- 湯冷ましに、砂糖と塩を加えてよく溶かす
- かき混ぜて、飲みやすい温度に冷ます
- 好みで果汁を加えると飲みやすくなる
細菌性腸炎に関しては抗生剤を使うこともありますが、すべての例に有効というわけではなく、かえって病状を悪化させることもあるため、血便などがあれば早めに受診することをお勧めします。
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