自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉症とは?

 発達障害の中でも、人とコミュニケーションをとることが困難、強いこだわりがあるなどの特徴があるものを自閉症スペクトラム障害(ASD:Autism Spectrum Disorder)と呼びます。この中でも、言葉の遅れや知的障害を伴うものをカナー型自閉症といい、知的障害を伴わないもの(知能指数(IQ)が70以上)を高機能自閉症(アスペルガー症候群)といいます。カナー型自閉症と高機能自閉症の違いは知的能力の差に過ぎず、基本的症状は同じです。知的な面でも症状の面でも程度には濃淡、連続性(スペクトラム)があることから、これらを包括して自閉症スペクトラム障害という概念が生まれました。高機能自閉症という表現に対して、一般的にはカナー型自閉症を単に自閉症と呼ぶことが多いようですが、他方では自閉症スペクトラム障害という概念もあり、自閉症という言葉が具体的に何を指しているのか、とても分かりにくくなっています。

社会性の障害

 自閉症スペクトラム障害を抱えている子どもは、人と関わることが苦手です。相手の目を見ることや視線を合わせることが苦手であったり、手をつないだり体に触ったりすることが苦手です。同時に何人かと対応することができず、同時に複数のことを行う並行処理が苦手です。また、急に予定を変更したり、計画されていなかった外出を突然したりすると、それに対応できずパニックになったりします。

コミュニケーションの障害

 コミュニケーションには言葉によるコミュニケーションと言葉によらないコミュニケーションがあります。言葉によるコミュニケーションは、基本的に「話す、聞く、読む、書く」の4つです。高機能自閉症の場合には、この4つの部分の遅れはないことが多いですが、カナー型自閉症では言葉の発達の遅れがみられます。言葉によらないコミュニケーションとしては、相手の表情や声を理解することが挙げられます。例えば相手が怒っているのか、悲しんでいるのか、喜んでいるのかを、表情や声の調子などから理解することです。また身振りや手振りを理解することなども含まれます。自分が喜んで話をしていても、相手が喜んでいるのか悲しんでいるのかが分からなければ、一方的に話をしてしまい、人間関係が上手くいかなくなることがあります。

想像力の障害

 例えば、静かにするべき場所なのか、騒いでよい場所なのかが分からないので、その場に合わせた対応が出来ないことがあります。また、相手がどう感じているのかが理解できないために、「自己主張が強い」、「失礼な人だ」と思われてしまうこともよくあります。普通見れば分かるだろうと思われるようなことでも分からないため、しばしば問題が起きます。社会には法律などで決められたルール以外に、なんとなく皆が了解しているさまざまな暗黙のルールがありますが、それらも分からないため、いわゆる「空気が読めない子」と思われてしまいます。

強いこだわり

 幼児期には物体にこだわることが多く、学童期以降には対人関係でのこだわりが多くなります。物体へのこだわりは、色、順序、形など、いろいろなものがあります。ミニカーや積み木などを寸分たがわず決まった順序で並べることに強くこだわったりします。高機能自閉症を抱えている場合には、例えば幼稚園時代にカブトムシやクワガタムシの名前を200種類以上覚えたりする子もいます。

常同行動・クレーン現象

 常同行動は反復性行動とも呼ばれますが、同じ動作の繰り返しで、周囲からは何を目的としているかが分からない動作です。例えば、ぴょんぴょん跳ねる、パチパチ手を打ち鳴らす、壁に頭をゴンゴンぶつけるなどの動作です。クレーン現象は、言葉が使えないので動作で要求を実現させようとするものです。例えば、のどが渇いたら、母親の手を取って冷蔵庫の所まで連れて行くといった動作です。

感覚過敏

 感覚過敏は、感覚が鋭すぎる症状で、視覚、聴覚、触覚、味覚など、どの感覚でもみられます。視覚過敏では、回るもの(扇風機や理髪店のマークなど)や縞模様などに対して強いこだわりを示したりします。聴覚過敏では、大きな音や特定の音に対して過剰な反応を示します。トイレのハンドドライヤーの音が苦手であったり、運動会のスタート合図のピストルの音でパニックを起こしたりします。触覚過敏では、流れる水の感覚が好きで、水道の水を出しっ放しにして触り続けたりします。味覚過敏では、特定の味に対して過敏になり、しばしば強い偏食につながります。

療育・社会生活訓練

療養

 自閉症スペクトラム障害は、脳の機能的障害が原因であり、育て方や環境によって起こるものではありません。しかし、療育的な対応や社会適応を進める上では、育て方や環境の調整が必要です。カナー型自閉症では、言葉が出なかったり知的障害を伴うため、幼児期からの療育的な対応が必要になります。高機能自閉症の方は、幼児から大人まで何らかの社会生活上の困難を抱えていますが、社会生活訓練(SST:Social Skills Training)によって少しずつ生活面を変えることで、多くの場合はそれなりに困難を減らすことが出来ます。

 自閉症スペクトラム障害を根本的に治す薬や治療法は現時点ではありません。療育や社会生活訓練の目的は、子どもの障害を治すことではなく、子どもが社会に適応して生活できるようにすることです。上に挙げたような気になる行動がある場合は、かかりつけ医に相談したり、お住まいの市区町村に問い合わせて、地域の保健センターや子育て支援センター、児童発達支援センターなどの相談窓口を利用しましょう。

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