子どものケガ
擦り傷
子どもが遊んでいるとき、じゃれているとき、子どもは大人のようにまだ加減が分かりませんから、室内、屋外問わず、よく転んだりして擦り傷を作ります。走っていて転び、膝や肘を擦りむくことが多いのですが、顔から先に地面に落ちて、顔を大きく擦りむくこともあります。
擦り傷ができたときは、まず傷口の砂や泥などを水道水で洗い流してきれいにすることが重要です。石鹸でよく泡立てて洗うこともお勧めします。以前は、洗う処置よりもヨードチンキやマキロンなどで消毒し、さらに傷薬などをつけて絆創膏を貼るというのが常識でしたが、それではかえって治りが遅くなり、傷跡も残りやすいことが分かってきました。また脱脂綿で拭くと、かえって傷口を痛めたりしますので、まずは流水で傷口をよく洗い流してください。
砂場や砂利道で転ぶと、傷口にそれらの「砂や砂利」が皮膚に食い込んでしまいます。流水で洗っても石や砂状を取り除くことが出来ないときは、病院を受診してください。その際には、屋内で転んだのか、屋外で転んだのか、アスファルト上だったのか、土の上だったのかなども伝えていただくといいでしょう。
また、顔を擦りむいた場合や、広範囲の傷になると、傷跡が気になります。汚れが取りきれていなかったりすると傷が化膿するおそれもあります。きれいに治すためには、きちんとした処置を受けましょう。
切り傷
子どもは好奇心旺盛で、興味のある物を何でも触ろうとします。缶切りで開けた危険なふたを触ってしまったり、紙のふちでスッと指を切ってしまったりすることもあります。家庭には包丁をはじめ、子どもにとって切り傷を作る危険な物がたくさんあります。また、ガラスや陶器などを割って、破片で手指を切ることもあります。屋外では、散歩していて転んだときに、落ちていた鋭利なもので、手や肘、膝やスネを切るということが考えられます。
切り傷の処置で大切なのは、まず止血と感染の防止です。ケガをしたら、いきなり消毒液や薬をつけてしまうのではなく、流水で傷口をよく洗ってください。感染防止対策にはこれが一番です。また、血がこびり付いていたり、汚れが付いていると、不潔であるばかりか、傷の大きさや深さを知ることができません。洗ってきれいにすると、傷の大きさや程度が分かりますので、傷口の正確な情報が把握できます。
傷口を流水できれいにしたら止血をしましょう。圧迫止血が基本です。滅菌ガーゼを当て、傷口を圧迫していれば、たいていの出血は止まります。
もし傷口が大きかったり、なかなか血が止まらない場合には止血しながら病院を受診してください。切り傷の怖いところは、深く切って組織を傷つけてしまうことです。神経を傷つければ感覚や運動に影響しますし、腱や関節を損傷すれば、やはり運動に問題が起きたり、成長発達に悪影響が出ることもあります。きちんと受診し、必要な処置を受けることが重要です。
何らかの事故で手指や足指などが切断されてしまった場合は救急車を呼びつつ止血します。痛がる子どもを押さえるのは大変ですが、切断部分のつけ根をガーゼで圧迫します。切断された先端部分は、洗ったり消毒したりしないでそのままきれいなガーゼに包んで病院へ持っていきます。 包丁や大型のカッターなどは、子どもの手が触れないところに置き、固定できるものは固定しましょう。以前、シュレッダーで子どもが指を切断した事故が相次ぎました。シュレッダーに巻き込まれては、組織の復元は難しくなります。こういったものは、子どもの目に触れないところに置き、電源はきちんと切るなどの配慮をしてください。
刺し傷
何かが刺さった場合、それが特に大きいものだと、周囲にいる大人までパニック状態になってしまいます。こんな時、慌てて刺さったものを抜くと、先端が折れて、根元が残ってしまったりしてしまうこともあります。鉛筆が刺さった場合などは、まっすぐに抜かないと先端が組織内に残ってしまいますし、竹串のようなものだと、串の周囲にある「けばだった繊維」が組織の中に残ってしまうこともあります。抜く前の、まだ刺さった状態ということなら、まず病院に連絡し、処置を指示してもらいましょう。
針などの細いものが刺さり、すぐに抜けたときは出血もさほどありません。水で洗浄し、絆創膏を貼ってカバーしましょう。ただし、針が錆びていると炎症を起こしたりするので、どんな針が刺さったのかを確認しておく必要があります。汚れたものが刺さったときは消毒しましょう。
何か太いものが刺さったときは、まずは流水で洗浄し、圧迫して止血します。汚れたものが刺さったときは消毒します。古い釘を踏んでしまったり、鉛筆などが刺さって芯が残ってしまったりした場合は、まずは流水でよく洗浄し、止血して病院を受診してください。
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