発達障害(総論)
発達障害とは?
発達障害とは、「発達の過程で明らかになる行動やコミュニケーションなどの障害で、現在では根本的な治療法はないけれども、適切な対応をすることによって社会生活上の困難は軽減される障害」と定義されます。
自閉症、アスペルガー症候群、多動症など、発達障害に関する様々な用語を聞かれたことがあるのではないでしょうか。まずは発達障害の全体像を整理してみましょう。自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の三つが主なものです(各々については他項で解説します)。この他に、多発性チックを主症状とするトゥレット障害、言葉の理解はできるけれども自発的に話すことのできない表出性言語遅滞、運動面でのバランスの悪さがみられる発達協調性運動障害などがあります。
どこまでが発達障害か?
近年、発達障害が増えていると言われています。報告により1%という人もいれば、5%という人も、10%という人もいます。報告により頻度が大きく異なるのは、どこまでを発達障害ととらえるかによって変わるからです。知的な遅れなどを伴い、このままでは将来に渡って社会で生活していくことが難しいだろうという場合をコア群とします。次に、発達障害の特性によって社会生活上の困難は抱えているけれども、適切なサポートがあれば何とか社会参加していけるのがグレーゾーン群です。さらにその外側にカテゴリー群があります。この群では、幼児期に自閉症などと診断されたけれども、ほぼサポートなしで小学校の通常学級に進学し、学校生活を送っているような場合です。
このように考えると、コア群であればおそらく2%程度、グレーゾーン群を含めると5%、さらにカテゴリー群まで含めると10%となるのかもしれません。しかし、各群の間には明確な境界がある訳ではなく、コア群だった子が、適切な療育によりカテゴリー群に変わることもあります。
重要なことは、発達障害が疑われる症状があっても、「社会生活上の困難」がみられてはじめて診断されるということです。この「社会生活上の困難」が、発達障害の場合にはなかなか客観的に評価しにくいことも正確な割合を出しにくい理由と考えられます。
セルフ・エスティームとは?
発達障害の抱える問題には共通点があります。発達障害の子は行動やコミュニケーションの問題を抱えていますので、叱られたり、注意されたりすることが多くなります。「ちゃんとしていなさい!」、「ちゃんと話しなさい!」、「じっとしていなさい!」などです。叱られたり、注意されたりばかりですと、自分に対する自信が出てくるとか、明るい笑顔が出てくるということがなくなります。そのためにセルフ・エスティーム(self-esteem)が低くなります。セルフ・エスティームには、自尊感情、自己肯定感、「自分を大切だと思える」などさまざまや訳がありますが、要は自信を持って生活できることだといえます。 「自分は駄目だ、上手くいかない」ことに慣れてしまうと、プライドも低くなり、生活や将来に対する意欲も低くなってしまいます。
終わりを思い描くことから始める
とかく障害という診断がつくと、それが全人格、全存在のように見られがちですが、障害はその個人の一部にすぎません。障害を直ちにゼロにすることはできませんが、少しずつ段階を経て減らしていくことはできます。発達障害を抱えている場合の最終目標の一つは、自分に自信の持てる状況、セルフ・エスティームの高い状況にするということです。そのためには、できないことを少しずつできるようにする努力や取り組み、そしてなによりも「誉められること」が必要です。
もう一つは、社会で生きていけるようにすることです。発達障害の子どもも親も、社会生活上の「困り感」や「生きづらさ」を抱えています。社会の枠組みの中で生きていくスキルや社会生活習慣を身につけるだけでなく、大人になった時に職を得て自分で稼げるようになることが重要です。 こうした最終目標を、大人になってからではなく、子どもの頃から考えていくことが大切です。「温かく見守りましょう」、「様子をみましょう」、「この子の個性です」と逃げることは、結局何もしないことと同じかもしれません。個性というのは、社会生活には困難を来さず、その枠組みの中で活かされていくものです。社会生活上の困難があるのなら対応しなければなりません。実際にどのような困難を抱えているのかを理解し、適切な支援をすることが大切です。
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