思春期早発症

思春期とは、男女を問わず子供の体から次第に大人の体に変化していく過程の時期を指します。この時期は体だけでなく心身共に大きな変化をもたらします。体の大きな変化は二次性徴としてよく知られた変化が起きてくるのは良く知られていることです。そして、思春期早発症とはその名の通り、思春期が通常より早く来てしまった状態を指します。

男女の体の変化

二次性徴において、男女ともに身長が急に伸びるほか、男児は声が変わる、体毛が生えてくる、精巣が大きくなるなど、女性であれば乳房の腫大、月経の開始などが大きな特徴です。

この二次性徴は、もちろん人種間での違いがあります。では、二次性徴が始まるとはどういうことでしょうか。女子では二次性徴は外見上では、乳房の発育から始まります。男子は精巣が大きくなり始めることから始まります。これらの兆候が見られ始めた時点で二次性徴が始まったと考えていいでしょう。もちろん、これらの症状が見られ始める前から性ホルモンの増加は始まっています。

そのうえで思春期早発症を疑うのは以下の年齢と症状が見られた場合です。

思春期早発症をうたがう年齢と症状

男子女子
9歳までに
精巣が大きくなる
7歳6か月までに
乳房が膨らんでくる
10歳までに
陰毛が生える
8歳までに
陰毛、腋毛が生えてくる
11歳までに
腋毛、ひげが生えてくる声変わりする
10歳6か月までに
生理が始まる

では、なぜこの思春期早発症が問題となるのでしょうか。それは、性ホルモンの刺激により骨の成熟が早くなります。成熟が早くなれば骨の成長する骨端線という組織が早く閉鎖してしまいます。骨端線が閉鎖してしまうと骨は伸びることができなくなり、最終的に身長が低くなってしまうのです。さらには、体がほかのお友達よりも早く成熟してしまうことで、子供の精神的な負担が大きくなるなどの心理的・社会的な問題も起きてしまいます。

原因

思春期早発症の原因は性ホルモンが早期に分泌されることですが、ホルモンを分泌する組織により中枢性と末梢性の思春期早発症に分類されます。中枢性とは性ホルモンの分泌をコントロールする脳の中の視床下部―下垂体系が早期から活性化する結果、精巣や卵巣が刺激されて性ホルモンが分泌される場合です。末梢性とは体の様々な臓器に腫瘍などができて、その腫瘍から性ホルモンが分泌されてしまうなど、中枢神経ではない末梢組織からの性ホルモン分泌が起きて思春期が発来してしまう場合です。このような場合は特に、腫瘍の診断や摘出なども必要になります。

治療

治療は思春期早発症の原因によって異なります。中枢性の思春期早発症であれば、注射で中枢神経から性腺への刺激を送るホルモンを抑えることで、精巣や卵巣への刺激がなくなり性ホルモンの分泌が抑えられて二次性徴が緩やかに進むようにします。このような治療により体が小柄なうちに身長の伸びがストップしてしまい、大人になった時の身長が極端に低くならないようにします。

一方、腫瘍などによる思春期早発症は、腫瘍の摘出などその原因に対する治療が基本となります。これらは小児外科や小児科での治療となります。そのうえで、ホルモンなどに対する治療は、患者本人や家族、身長がどれくらいになるのか、治療中にも必要な検査など注意すべきことも多岐にわたりますので、小児内分泌の専門医のもとで治療が必要です。

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